「髪のハリやコシがなくなってきた。」
「シャンプーした時や、枕元の抜け毛が増えてきた。」
「頭皮の地肌が目立ってきた。」
あなたが女性で、もしこのような変化を実感されているなら、それは女性のAGA、いわゆるFAGA(女性男性型脱毛症)かもしれません。FAGAは、放置すれば時間と共に症状が進行していきますが、早期に適切に治療介入すれば回復させることも可能です。
ここではFAGAの原因、症状、当院での治療法、さらに治療効果についてご紹介します。「もしかしてFAGA? 」そのような不安を少しでもお持ちであれば、是非この記事を参考に、医療機関での薄毛治療をご検討ください。
女性の男性型脱毛症(FAGA)とは
女性の進行性の薄毛の一種です。
男性の進行性の薄毛(AGA)は、頭の前方や頭頂部などが局所的に薄くなり始めるのに対し、FAGAの場合は全体的に薄くなる、いわゆる「びまん性」の薄毛症状が見られるのが特徴です。そのため、ご自分では気づきにくく、周囲から指摘されて意識するようになったという方も少なくありません。
FAGAはなぜ起こる?(発症メカニズム)
FAGAは、ヘアサイクルの乱れによって引き起こされます。ヘアサイクルとは、発毛と脱毛の周期のことです。
毛髪は、通常2〜6年かけて太く、コシのある状態に成長し、その後約2週間の退行期(毛根が退縮する時期)、さらに3〜4ヵ月の休止期(毛根が完全に退化している時期)を経て脱毛します。その後同じ毛穴から新しい髪が生えて、再び2〜6年かけて成長する…というサイクルを繰り返します。
ところがFAGAになると、成長期の期間が極端に短くなったり、休止期の期間が長くなったりします。このため髪は細くて弱々しいものが多くなり、抜け毛も目立つように。このような状態が長く続くことで、徐々に薄毛を実感するようになります。
FAGAの発毛治療ではこのサイクルを正常に戻すことを目指します。
FAGAの原因
なぜ、ヘアサイクルは乱れてしまうのでしょう? 理由は大きく3つあります。
加齢に伴うホルモンバランスの乱れ
女性は、加齢と共に女性ホルモンの分泌量が少なくなります。とりわけ、健全なヘアサイクルを維持するために重要な役割を果たしている女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量は、20代後半をピークに減少に転じ、40歳前後で急激に落ち始めます。その結果、相対的に男性ホルモンが占める比率が大きくなります(男性ホルモンの量そのものが増えるわけではありません)。
遺伝
遺伝の要素も少なからずあります。近親者に薄毛の人がいるようでしたら、その性質を引き継いでいる可能性があるとお考えください。
実際に遺伝が薄毛に影響することは医学的にも報告されています[1][2]。
生活習慣
生活習慣の乱れはFAGAの直接的な原因とは言えませんが、症状の進行に拍車をかける要因になりうることは確かです。発症していない方は予防のため、すでに治療している方は悪化させないためにも、是非、以下の点にご注意ください。
食生活の乱れ・栄養不足 | 髪を作る時には、タンパク質やビタミン・ミネラルが必要です。栄養バランスが偏った食生活、過度なダイエット、不摂生な食生活はFAGA発症や進行を早める危険因子の一つです。 |
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睡眠不足 | 睡眠不足も要注意です。髪の健全な生育には成長ホルモンが欠かせませんが、その成長ホルモンは睡眠時に放出されます。日々の生活で十分な睡眠時間を確保できないと、ヘアサイクルの乱れを助長することになりかねません。 |
そのほか | 全身の血行不良につながる喫煙、飲酒、ストレス過多などはFAGAにつながる危険因子です。 |
もしかしてFAGA? 注意すべき症状とは
FAGA(女性男性型脱毛症)の症状は人それぞれに異なり多彩ですが、以下の既往歴や症状があるようでしたら、なるべく早期に薄毛治療の専門外来にご相談されることをお勧めします。
- 額が広くなってきた
- 髪の分け目が薄くなってきた
- 頭頂部の地肌が気になる
- シャンプーをした時の抜け毛の量が増えてきた
- 起床時、枕元に抜け毛がある
- 髪のボリュームがなくなってきた
- 髪にハリ・コシがなくなってきた
- 親族に薄毛の人がいる
●注意
身体的な疾患(頭皮の湿疹、鉄欠乏性貧血、膠原病、甲状腺機能低下症など)がないことを前提としています。身体的な疾患がある場合は、まずはそちらの治療を優先してください。
FAGAの進行パターン
FAGA(女性男性型脱毛症)にはAGA(男性型脱毛症)とは異なるFAGA特有の進行パターンがあります。
ルードウィッグ型
FAGAの中で最も頻度が高いパターンです。頭頂部から後頭部にかけて、徐々に薄くなっていきます。この型は、進行度によってさらにⅠ〜Ⅲ型に分類されます。
■Ⅰ型
頭頂部が全体的に薄くなった状態。まだ自覚症状のない方も少なくない。
■Ⅱ型
髪の薄さが際立ってきた状態。鏡で見たとき、多くの方は自分でも気付く。
■Ⅲ型
前頭部の生え際ラインも後退し始める。男性のAGAと似た症状になってくる。
クリスマスツリー型
生え際から頭頂部の中心にかけて薄くなっていくパターンです。ツリーの枝のように左右に広がっていくことからこのような名前がついています(「オルセン型」と呼ばれることもあります)。生え際(前方)から広がるので、初期段階でも目立ちやすくなります。