• 女性の薄毛・抜け毛のお悩み

【医師監修】女性のAGA(FAGA)の原因と治療法

  • 公開日:2022年10月4日
  • 更新日:2023年8月10日

【医師監修】女性のAGA(FAGA)の原因と治療法

「髪のハリやコシがなくなってきた。」
「シャンプーした時や、枕元の抜け毛が増えてきた。」
「頭皮の地肌が目立ってきた。」
あなたが女性で、もしこのような変化を実感されているなら、それは女性のAGA、いわゆるFAGA(女性男性型脱毛症)かもしれません。FAGAは、放置すれば時間と共に症状が進行していきますが、早期に適切に治療介入すれば回復させることも可能です。
ここではFAGAの原因、症状、当院での治療法、さらに治療効果についてご紹介します。「もしかしてFAGA? 」そのような不安を少しでもお持ちであれば、是非この記事を参考に、医療機関での薄毛治療をご検討ください。

このコラムを監修した医師

岩崎衛

岩崎衛 医師(スマイルAGAクリニック 八重洲院 院長)

スマイルAGAクリニック 八重洲院 院長

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女性の男性型脱毛症(FAGA)とは

女性の進行性の薄毛の一種です。
男性の進行性の薄毛(AGA)は、頭の前方や頭頂部などが局所的に薄くなり始めるのに対し、FAGAの場合は全体的に薄くなる、いわゆる「びまん性」の薄毛症状が見られるのが特徴です。そのため、ご自分では気づきにくく、周囲から指摘されて意識するようになったという方も少なくありません。

FAGAはなぜ起こる?(発症メカニズム)

FAGAは、ヘアサイクルの乱れによって引き起こされます。ヘアサイクルとは、発毛と脱毛の周期のことです。
毛髪は、通常2〜6年かけて太く、コシのある状態に成長し、その後約2週間の退行期(毛根が退縮する時期)、さらに3〜4ヵ月の休止期(毛根が完全に退化している時期)を経て脱毛します。その後同じ毛穴から新しい髪が生えて、再び2〜6年かけて成長する…というサイクルを繰り返します。
ところがFAGAになると、成長期の期間が極端に短くなったり、休止期の期間が長くなったりします。このため髪は細くて弱々しいものが多くなり、抜け毛も目立つように。このような状態が長く続くことで、徐々に薄毛を実感するようになります。
FAGAの発毛治療ではこのサイクルを正常に戻すことを目指します。

女性ホルモンの影響で乱れたヘアサイクル

女性ホルモンの影響で乱れたヘアサイクル

FAGAの原因

なぜ、ヘアサイクルは乱れてしまうのでしょう? 理由は大きく3つあります。

加齢に伴うホルモンバランスの乱れ

女性は、加齢と共に女性ホルモンの分泌量が少なくなります。とりわけ、健全なヘアサイクルを維持するために重要な役割を果たしている女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量は、20代後半をピークに減少に転じ、40歳前後で急激に落ち始めます。その結果、相対的に男性ホルモンが占める比率が大きくなります(男性ホルモンの量そのものが増えるわけではありません)。

年齢とエストロゲン分泌量の関係

年齢とエストロゲン分泌量の関係

遺伝

遺伝の要素も少なからずあります。近親者に薄毛の人がいるようでしたら、その性質を引き継いでいる可能性があるとお考えください。
実際に遺伝が薄毛に影響することは医学的にも報告されています[1][2]

生活習慣

生活習慣の乱れはFAGAの直接的な原因とは言えませんが、症状の進行に拍車をかける要因になりうることは確かです。発症していない方は予防のため、すでに治療している方は悪化させないためにも、是非、以下の点にご注意ください。

食生活の乱れ・栄養不足 髪を作る時には、タンパク質やビタミン・ミネラルが必要です。栄養バランスが偏った食生活、過度なダイエット、不摂生な食生活はFAGA発症や進行を早める危険因子の一つです。
睡眠不足 睡眠不足も要注意です。髪の健全な生育には成長ホルモンが欠かせませんが、その成長ホルモンは睡眠時に放出されます。日々の生活で十分な睡眠時間を確保できないと、ヘアサイクルの乱れを助長することになりかねません。
そのほか 全身の血行不良につながる喫煙、飲酒、ストレス過多などはFAGAにつながる危険因子です。

もしかしてFAGA? 注意すべき症状とは

FAGA(女性男性型脱毛症)の症状は人それぞれに異なり多彩ですが、以下の既往歴や症状があるようでしたら、なるべく早期に薄毛治療の専門外来にご相談されることをお勧めします。

  • 額が広くなってきた
  • 髪の分け目が薄くなってきた
  • 頭頂部の地肌が気になる
  • シャンプーをした時の抜け毛の量が増えてきた
  • 起床時、枕元に抜け毛がある
  • 髪のボリュームがなくなってきた
  • 髪にハリ・コシがなくなってきた
  • 親族に薄毛の人がいる

●注意

身体的な疾患(頭皮の湿疹、鉄欠乏性貧血、膠原病、甲状腺機能低下症など)がないことを前提としています。身体的な疾患がある場合は、まずはそちらの治療を優先してください。

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FAGAの進行パターン

FAGA(女性男性型脱毛症)にはAGA(男性型脱毛症)とは異なるFAGA特有の進行パターンがあります。

ルードウィッグ型

FAGAのルードウィッグ型

FAGAのルードウィッグ型FAGAの中で最も頻度が高いパターンです。頭頂部から後頭部にかけて、徐々に薄くなっていきます。この型は、進行度によってさらにⅠ〜Ⅲ型に分類されます。
■Ⅰ型
頭頂部が全体的に薄くなった状態。まだ自覚症状のない方も少なくない。
■Ⅱ型
髪の薄さが際立ってきた状態。鏡で見たとき、多くの方は自分でも気付く。
■Ⅲ型
前頭部の生え際ラインも後退し始める。男性のAGAと似た症状になってくる。

クリスマスツリー型

FAGAのクリスマスツリー型

FAGAのクリスマスツリー型生え際から頭頂部の中心にかけて薄くなっていくパターンです。ツリーの枝のように左右に広がっていくことからこのような名前がついています(「オルセン型」と呼ばれることもあります)。生え際(前方)から広がるので、初期段階でも目立ちやすくなります。

ハミルトン型

FAGAのハミルトン型

FAGAのハミルトン型生え際の左右に剃り込みが入ったように薄くなっていくパターンです。男性のAGAでいう「M字型」に近い症状が見られます。

FAGAとAGAはどう違う

FAGA(女性男性型脱毛症)とAGA(男性型脱毛症)は、発症メカニズム的には違いがありません。どちらもヘアサイクルの乱れによって起こります。違う点は、症状の現れ方と、発症する時期です。

症状の現れ方の違い

AGAの場合は頭の前方、または頭頂部などの局所から進行するケースがほとんどですが、FAGAは全体的に薄くなるか(びまん型)、髪の分け目から広がってくるケースが多いです。また、AGAは進行すると毛髪が完全に抜け落ちることがありますが、FAGAの場合、完全に毛がなくなるということは稀です。

FAGAとAGAの症状の現れ方の違い

FAGAとAGAの症状の現れ方の違い

発症時期の違い

男性の薄毛であるAGAは女性に比べて発症時期が早い傾向にあります。早い人だと10代で発症することもあり、患者さんの数は30代以降に徐々に増えていきます。
一方、FAGAの場合は成人後に発症します。特にホルモンバランスが大きく変わり始める40〜50代に発症する方が多いですが、稀に20代に発症するケースもあります。

FAGAの治療法

FAGA(女性男性型脱毛症)に有効とされる治療方法についてご紹介します。ご状態に応じて、複数の治療法を併用することもあります。

●注意

当院では、妊娠の可能性がある場合や妊娠中、授乳中の方への治療は行っていません。カウンセリング時や診察の際、必ず医師にお伝えください。

内服薬・外用薬による治療

FAGA(女性男性型脱毛症)の初期段階に検討される一般的な治療法です。

■スピロノラクトン(内服薬)

スピロノラクトンは、もともとは高血圧や、心不全の治療薬として用いられていましたが、テストステロンの生成を抑制しDHTを減少させる作用が認められたため、現在は女性の薄毛治療にも使用されています。男性ホルモンを抑制することで、ヘアサイクルを整え、抜け毛を予防する効果が期待できます。

■ミノキシジル(内服薬/外用薬)

ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)の治療薬としても使用されています。日本皮膚科学会が定めた『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)』では、FAGAにも外用薬の有効性が認められています。副作用は初期脱毛、動悸、体毛の増加などです。
詳しくはこちらのコラムもご参照ください。
▶︎コラム「ミノキシジル【効果と副作用】女性も使える? もしやめたら?」

■パントガール

主な成分はパントテン酸カルシウム、L-シスチン、ケラチンです。これらの成分が髪の成長を助けることで、髪のハリやツヤを改善する効果が期待できます。ビタミンのほか、たんぱく質やアミノ酸といった成分がベースになっているので、副作用の心配がなく安全性の高い薬剤です。

■メソセラピー

薄毛症状の改善に有効な成長因子、発毛促進成分、または細胞の修復が期待できる幹細胞由来サイトカインを、頭皮(毛根部分)に直接注射する治療法です。発毛・育毛の有効成分が頭皮にダイレクトに届くので、早期に効果を実感できます。
なお、当院では痛みのない「ノーニードル注入法」も導入しています。
詳しくは当院の女性の薄毛治療に関するページをご参照ください。
▶︎女性の薄毛治療

■当院独自の投薬治療

当院では、脱毛の抑止と発毛促進に有効な複数の薬剤を独自に組み合わせた処方プランもご用意しております。詳しくは下記のリンクをご覧ください。
▶︎スマイルAGA処方(女性専用)
▶︎スマイルAGAプレミアム

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FAGA以外で考えられる女性の脱毛症

女性が患う可能性のある脱毛症はFAGA以外にもあります。代表的なものをご紹介しておきましょう。

円形脱毛症

円形脱毛症は、円形や楕円形に脱毛斑が生じる疾患です。症状は10円硬化くらいの脱毛から、髪全体が抜け落ちるものまで人によってさまざまです。
びまん性脱毛症やFAGAは髪全体が徐々に薄くなっていくのに対し、円形脱毛症は短期間で局所的に症状があらわれます。
ストレスが原因という説もありますが、現在は、免疫機能が異常をきたした時に起こる自己免疫疾患と考えられています[1]。自己免疫疾患とは、外部からの侵入者を攻撃することで、自分の身体を守るはずの免疫機能が、自身の細胞を異物とみなして攻撃してしまう病気のことです。
円形脱毛症は、年齢性別問わず誰にでも起こりうる疾患ですが、他の自己免疫疾患と併用して発症するケースもあります。症状が見られる方は、適切な治療を行うためにも、医療機関の受診をおすすめします。

牽引性脱毛症

牽引には、「引っ張る、引き寄せる」という意味があります。髪を長時間きつく結んでいると、血行不良や毛包へのダメージを引き起こします。そうすると、結い上げた際に負荷がかかる髪の生え際や分け目の髪が抜けやすくなり、頭皮が目立つようになります。特にポニーテールなど髪を強く結い上げる結び方をしていたり、いつも固定の位置で結ぶ習慣があったりする人に起こりうる症状です。

脂漏性脱毛症

脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌が原因で起こる脱毛症です。頭皮や髪がベタついたり、ニキビやフケが目立ってきたりする場合は、この疾患を疑ってもよいかもしれません。
生活習慣の乱れや睡眠不足、ストレス、皮脂の洗い残しによって皮脂が過剰に分泌され、頭皮環境が悪化し、抜け毛が増えるようになります。頭皮を清潔に保つことが改善に繋がりますが、症状がひどい場合は、皮膚科などの医療機関を受診されるとよいでしょう。

FAGAは早期治療が重要

FAGA(女性男性型脱毛症)は進行性の疾患であり、一度発症したら自然に治癒することはありません。放置すれば症状は進行する一方ですし、進行した後に治療を始めた場合、効果が得られるまでに要する時間や費用は膨らみます。また、市販薬や個人輸入薬による安易な薄毛治療はかえって症状を悪化させるばかりか、副作用のリスクも高くなります。
デリケートな問題なので相談はためらわれるかもしれませんが「もしかして」と思う症状があるなら、悪化する前に、是非、当院の無料カウンセリングにお越しください。

※治療内容の組み合わせ、年齢、進行度によって治療の効果には個人差があります。

スピロノラクトンのリスク・副作用 重大な副作用は 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシス等)、急性腎不全、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群。その他の副作用としては生理不順、発疹、眩暈、喉の渇き、倦怠感、頻尿などが見られます。もし症状が辛い場合は使用を中止し、担当の医師にご相談ください。
注意点・特記事項
  • 併用してはいけない薬が存在するので、現在服用中の薬がある場合は必ず事前に医師に申告してください。
  • 重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
ミノキシジルのリスク・副作用 主にみられるものは血圧低下や心拍数の増加、頭痛やめまい、多毛症、体重増加、手足のむくみです。もし症状が辛い場合は使用を中止し、担当の医師にご相談ください。
注意点・特記事項
  • 本成分は、国内では頭皮に塗布する一般用医薬品として承認されています。
  • 内服薬としては、国内で承認されているものはありません。諸外国における安全性等に係る情報内服薬としてはアメリカのFDAで高血圧治療薬として承認されています。
  • 薬機法に基づき、医師による個人輸入にて導入・治療を行っています(ご参考:個人輸入に関する厚生労働省の案内
スマイルAGA処方(内服+外用) ¥38,500~¥55,000/月

コラムのポイント

  • FAGAとAGAの発症メカニズムは同じ
  • FAGAとAGAでは症状の出方と、治療薬が異なる
  • FAGAは進行性疾患なので、できるだけ早期の介入が望まれる

引用文献